理系大学院生のリアルな日常

某旧帝大でバイオ系の研究をする理系大学院生がポジティブに生きる様を書き綴る。"人生や研究生活を楽しくする小さじ一杯程度のからくり"をお届けしたい。

薬学部のリアルな内情(2) 〜悩める薬学部生に向けて〜

前回の更新からしばらく経ってしまいました!

 

 

前の記事の後編ということで、この記事では薬学部に在籍していたからこそわかる内部事情や卒業後はどんな進路に進む人がいるのかというのを紹介していきたいなと思います。

 

 

また、最後には悩める薬学生に向けての一言を書いたので、よかったら読んでみてください。

 

 

前回の記事では薬学部のうち4年制と6年制の違いについて書きました。

 

 

cody-oncology-research.hatenadiary.jp

 

 

さて、

 

再び、この質問を投げかけます。笑

 

世間的に薬学部というとどんなイメージをもたれるでしょうか?

 

👩‍💼: 薬剤師を目指す人たちなのだから将来安泰でしょ!

 

👨🏻‍💼: 博打好きというよりかは安定志向なのだろう!

 

🤷🏻‍♂️:  いい惚れ薬(媚薬)将来作ってよ!!

(もはやイメージじゃなく、要望…)

 

とか?(笑)

 

案外世間の人たちはまず最初に薬剤師が出てきて、研究ってイメージには結びつかないんだよなあ。。

 

自分も他人に薬学部であることを伝えると将来薬剤師になるのだと勝手に解釈されてしまい、いや、違うのだと説明したことが何度もあります…(笑)

 

昔は薬学部が4年制のみで、なおかつ4年で薬剤師資格を取得できたため勘違いしている人が多いのだと思います。

 

まあ、そんなことは置いておいて、

 

この記事では薬学部のリアルな内情について話をしていきますよ。

この記事を読んだ方にリアルな内情がお伝えできて、それが何かのお役に立てれば幸いです。

 

それではいきましょう。

 

 

 

 

どんな人が集まっていた?

僕が在籍していた某地方国立大学薬学部に限った話で言えば、全国の進学校から集まってきていましたので基本的に真面目な人が多かったです。

 

あと、何故だか変人が多かったです。笑

いや、変態というべきかもしれない。

それはもう個性的な人が多くて本当に楽しかったですよ。笑

 

また、学部別の偏差値でいえば医学部医学科の次に薬学部は高い偏差値ですので、医学科を目指していたけれども大学受験の結果からやむなく薬学部に進学してきたという人も何人か見受けられました。

 

そういう性質からか、自分を含め浪人している学生も多かったです(1浪の人はチラホラ、たまに2浪という感じ)。

 

そのうちの何人かは休学するなり仮面浪人するなりして、医学科の再受験を志す人もいました。(その結果を見る限りなかなか一筋縄ではいかないようです…)

 

薬学部生は何故薬学部を選んだ?

入学してきた学生のうち4年制の学生は「製薬企業に就職し、創薬研究に携わりたい」という人が多かったように感じました。また、一部の学生は漠然と「将来基礎研究がやりたい」という人もいました。

 

やはり、有機化学、生物学、物理化学に物理学、そしてそれらの応用としての薬理学と様々な学問を学べる薬学部は、将来やりたい研究が決まっていないけれども何かしら研究がしたいと志す学生にはぴったりだと思いますね。

 

6年制の学生はそのほとんどが「将来薬剤師になりたい」という人たちでしたね。

中には、在籍中に研究に目覚める人だったり全く異なる道を目指す人もいました。それらは卒後の進路の項で後述します。

 

卒後の進路

4年制の学生たちは9割9分が大学院に進学します。

 

その理由として、アカデミアに進みたいからという人は極少数で、主だったものは修士卒でないと営業職(MR)を除く製薬企業の各部署に就職することが困難であるからです。

具体的には、研究職(最近大手では博士卒の学生でないと採らないところもあります)、臨床開発職、品質管理職、メディカルアフェアーズ等々ですね。

 

 

それでは、修士卒の学生の進路はどうなのかというと、8割ほどの人が上記のようなところやその他の業種の企業に就職し、残りの人は博士課程(博士後期課程)に進学します。

 

製薬企業以外の就職先としては、化学系企業(シャンプー、化粧、オーラルケア用品、消臭剤等の日用品を扱う企業や医薬品の有効成分を生産する原薬企業)だったり、食品系の企業なんかにも就職する人が多いです。

 

 

博士課程卒の学生の進路は上記のような何らかの企業の研究職もしくはアカデミアというところでしょう。

 

6年制の学生はその多くが、病院もしくは薬局の薬剤師になります。

その他として、製薬企業の臨床開発やMRになる人もいれば、博士課程に進学し研究者への道を選ぶ人もいますし、中には国家公務員になる人なんかもいます。

 

まあ、僕が説明しているのは自分の知っている限りの情報でしかないので、卒後の進路について気になる方がいらしたらぜひご自身で調べてみてください。

 

薬学部生はどんな生活をしているの?

よく巷では、

 

大学生活は人生における夏休みだ。社会に出るまでにしっかり遊んでおきなさい。

 

という言葉が時に若者に投げかけられることがあると思います。

 

 

自分も高校の時の先生に同じことを言われ、大学生になったら自由な時間が多くなるのか!何をしようか!と期待に胸を膨らませたものでした。

 

 

しかし、僕は気付きました。

 

たしかに、文系の大学生にとっては大学は人生の夏休みなのかもしれません。

 

だがしかし、薬学部生においてそれは当てはまりません。

 

 

1年時から比較的授業が多く、年々増えていくコマ数。

そしてほぼ全ての授業が必修科目であるため、ほぼ全ての科目の履修は強制。

大学生3年の前期は授業数のピークで週23コマ(1日90分授業×5コマなので、週最大25コマ中)でした。

 

多くの必修授業や実習で平日の日中における自由な時間などほぼ皆無でした。

 

一限の授業は寝坊しそうだからできるだけ取りたくないという人、、、

 

ほぼ全ての一限が必修科目なのでそのような甘えは通用しません。笑

(これは自分が通っていた大学の話であるので全ての大学に当てはまるわけではないことをご了承ください。)

 

だから、とにかく何でも学びたい人には薬学部は最適の環境です!

 

よく薬学部は理系の中でも何でも屋と称されることがあります。

それは文字通り様々な科目を学ぶからでありますが、悪く言えばどっちつかずとも取れる表現であります。

なので、薬学部の学生は薬に関する知識がなかったら、もしくは何かの学問を自主的に極めていかなければ理系の中でのオリジナリティは出せません。

 

さて、そんな薬学部生ですが、自分の大学の学生達はメリハリをきっちりつけて日々を過ごしていましたね。

 

やる時はガッとやって、オフのための時間を確保する。

ということが自然とできていました。

 

自分の時間を確保するのが上手い人が多かったです。

自分は元々そういうことが下手だったので周りの人を真似することで徐々に身につけて上達していった様な気がします。

 

なので、自分を含め部活もみんなバリバリやっていましたし、バイトももちろんしていました。

 

また、学業に関しては、試験前に図書館やファミレス等でがっつり詰め込むといった人が多かったですね。(まあこれは大学生全般に当てはまるかもしれませんね笑)

 

また、試験科目とその範囲が膨大であるため、大量の情報を記憶することに関して長けてる人が多かったです。

 

そしてリアルな話をすると、上記のようなことができない人達は1人残らず留年していきました。

 

また、大学生らしい飲み会や旅行等もみんな満喫していたので、死ぬほど遊べるかといったらそうではないけれども、その人次第で遊ぶ時間は確保できます。

 

薬学部生が抱える悩みとは?

特に4年制薬学部の学生達の中には将来に悩みを抱えている人が散見されました。

 

その悩みの原因とは、近年の国内製薬業界の停滞やアカデミアにおける研究環境獲得の難しさです。

 

 

たまたまいい記事を見つけたので、製薬企業の件に関して詳しくは下の記事を読んでみてください。

 

過渡期を迎えた製薬企業(前編)〜ふくらむ研究開発費、上がる新薬創出のハードル|SCIENCE SHIFT

 

アカデミアの件に関しては少しググれば出てくると思います。

 

学生達は研究者を目指して入学したはいいものの、入ってくるのはネガティブなニュースばかり。

その道は困難を極めるし、もし運良くその企業に入れたとして、入社後リストラ等の不幸な目に遭ったら、、アカデミアに進んだはいいものの順調にポストを獲得できなかったら、、

こんなことを考えてしまうのです。

 

 

個人的な意見を述べます。

 

 

研究者という職業領域においては、やはりその人そのもののインテリジェンスやクリエイティビティ、そして何よりも実績が求められるフィールドであって、近年その志向がより強まっていると考えられます。

そして当たり前なこととして、様々な国の人との英語での会話、様々な研究分野の人や多様な職種の人と正しく言葉のキャッチボールができるというような「コミュニーケーション能力」が求められていると考えています。

(よく学生の中には飲み会の様な場において盛り上げる能力がコミュニケーション能力だと勘違いしている人が見受けられますが、僕は断じて違うと考えます。もちろんそういう人が嫌いなわけではありませんが。)

 

これは今に始まった話ではないと思いますが、名のある大学に入学して少し就活を頑張ったら就職できるというそこらへんの大学生の典型的なロールモデルは研究職や研究者には通用しないのです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

 

リアルすぎる薬学部の内情について語ってみました。

 

つらつらと書いてはみましたが、これは僕の主観が含まれていることがあるため、事実とは異なる場合も多々あり得ます。

 

あくまで参考程度に。

 

最後に、将来に悩みを抱えている薬学生がいたとしたら、

現在MC1で道半ばの僕でも言えることは、

 

とりあえず行動しよう。

 

の一言です。

 

悩んでいるだけ時間の無駄です。

 

スマホでブログを漁っていてたまたま僕のブログに辿りついた悩める学生がいたとしたら次の行動を起こしてみてください。

 

①自分の足で情報を得る

情報が得られそうな本を読む、情報が得られそうな人に話を聞きに行くということをしましょう。

情報を得ることは非常に重要なので、ぜひネットだけではなく本や人も活用してください。

人に聞く場合は直接でもSNSでも何でもいいと思います。生の声の方がより有益な情報が得られることが多いです。

とにかく知ってそうな人に聞きましょう。

 

そして、

 

②周りに合わせるのではなく、自分の本当にやりたいことをやるには何をやらなくちゃいけないのかを本気で考える。

 

そして、やるべきことが決まったらその日から行動を開始してください。

努力する前に諦めるのは簡単ですが、残るのは後悔だけです。

 

あと、ここで僕が言いたいのは周りに合わせすぎるなということです。

 

薬学部というのは様々な分野に精通しているため、卒後は製薬企業だけでなく、もっともっと広い分野に進めるはずなのです。

 

その自由度は非常に高いと思います。

 

以上、全くまとまりのないまとめで終わりたいと思います。

 

色々偉そうに語りましたが自分も薬学部に入学してからたくさん悩んだし、今も将来どういう道に進むか悩んでいます!笑

 

みんなそんなもんです。

 

一緒にこの将来を悩める環境を楽しんでいきましょう!

 

それでは!