理系大学院生のリアルな日常

某旧帝大でバイオ系の研究をする理系大学院生がポジティブに生きる様を書き綴る。"人生や研究生活を楽しくする小さじ一杯程度のからくり"をお届けしたい。

博士課程に進学するか、修士を出て就職するか、はたまた第三の道とは?

理系大学院生で比較的に研究が楽しくやれている方は一度は悩んだ経験があるのではないでしょうか?


一度どころか二度、三度と悩む方も結構な割合でいるかもしれませんね。





「ドクター(博士課程)進学か、修士卒で就職するか」





実際に現在バイオ系の分野でM1の私も非常に悩んでいます。笑

ただ、悩み続けた結果、一人で考えてもらちが明かないと思い、製薬企業での研究経験を持つ方やアカデミアで現在バリバリ研究をしている研究者に相談するうちに自分の中でも考えがクリアになってきたので、それを今回は紹介していこうと思います。


今現在進路に悩んでいる大学院生や、まだまだ先の話だけれども自分の将来の進路が気になる学部生の方に読んでいただけたらなと思います!



目次

教授に勧められたから博士課程に進学をしようとはしていないか?


ラボにおける博士課程の学生というのは、ラボの学生の中でのヒエラルキーの頂点であり、先生陣からも最も口出ししやすい(指示をしやすい)学生ということです。


もちろん研究能力は学部生、修士課程の学生より高い場合が多いですし、何よりラボに在籍している期間が長いからラボのこと(試薬や物の置き場所からラボにおける義務的な仕事)に詳しいのです。


しかも実験の手技もそのラボでコンスタントに行うものであればほぼすべてを習得しているはずなので、下の学生の指導も任せることができる。


そりゃあ先生方も博士課程の学生を重宝しますよ。


そして研究の面でも、一つの仕事に同じ人が長い期間取り組めるため、大きな成果につながる可能性も出てくるわけですからね


そういった理由で、教授にとって博士課程の学生というのはありがたい存在なのです。


だからこそ、その進学を進めてくるということもあるかもしれません。


もちろん、あなたの研究者としての適性を見て、
「こいつは見込みあるから自分の元でもっと育ててあげたい!もう少し一緒にいい仕事がしたい!」というようなポジティブな理由もあるかもしれません。



ただ、ここで私が言いたいのは、勧められたから安易に進学するのではなく、自分の意志でしっかり決めようということです。


もし、博士課程に進学して、
「なかなか研究が上手くいかず、オーバードクターになってしまい、なんとか学位をとって卒業したけども就職先はなかなか決まらない…。
学部時代の同期はさっさと就職して結婚してて…。
なんで自分はこんなことに…。」

なんてことになっても、周りは「あなたが自分で決めた道でしょう?」というしかなくなります。


人のせいにするわけにはいきません。


だからこそ、ドクター進学を安易に決めてしまうのは危ないと思います。


博士課程で必要な要素と戦略

私はつい先日、現在アカデミアでPIとしてバリバリ研究している研究者の方(もちろん自分のラボの先生ではないけども信頼のおける方)に自分の現在の状況や心境を伝えたうえで「ドクターに進むべきか否か」を相談しました。。


その時にその方がおっしゃっていたことを中心に、僕なりに博士課程やその先の将来をhappyにやっていくために必要だと思うことをまとめていきたいと思います。



  • 苦しい時でもサイエンスが好きでいられるか

私が相談した先生がおっしゃっていたのは、
「ドクターは本当に苦しかったよ。ただ、あれは人生におけるたまたま苦しい時期だって思うようにしていて、逆にそれを乗り越えられているからこそ、その先アカデミアでつらいことがあっても自分なら大丈夫だと思えた。でも、そうやって乗り越えられたのはサイエンスが本当に好きだったからであって、そうじゃないととてもじゃないけどやってられないよ。」

それに加えて、


「ドクターを出て、もしアカデミアに進むのなら、しばらくは不安定な職が続く。僕の場合は40前半でPIになれたけど、それまではずっと不安定なままだった。そんなの好きじゃなかったらやってられないよね。」


やはり、博士課程に進学するということは日本においては学費を払ってまで学問を追求するわけですからね。


しかも自分の同期世代が社会に出て働いているというのに。


そういう資金的なデメリットを上回るほどの好きなサイエンス
ができるというメリットがなければやっていけませんよね。




  • 広い視野とブランドを身につけろ

先生はこんなこともおっしゃっていました。


「もしこれから先アカデミアでやっていくなら世界中のめちゃくちゃ優秀な研究者達と競っていかなくちゃならない。それに加えて、ポスドクを20人も抱えているようなアメリカのビッグラボとも戦わなくちゃならない。そんな大きなラボにガリガリやられたら同じことをやっていたんじゃとてもじゃないけど勝てないんだ。だから、そんな中で勝つために僕は常にいくつものオプションを視野に入れて、たくさんのスキルを得てきた。自分にしか、自分のラボでしかできないことをやれば勝てると思ったからね。」


また、NewsPicsのWeeklyOchiaiという番組内でZOZOTOWNで働く田端新太郎さんがこんなことをおっしゃっていました。


「キャピタルさえあれば会社にいても好きなようにやれるし、クビになったとしてもやっていける。日本のサラリーマンは優先順位のつけ方を間違っていて、自分のキャピタルの獲得よりもクビにならないように社内の評価を気にして残業したりして挙句の果てに自分の会社の文句ばっか言っている。」


この話と先程の先生の話は本質的には同じようなことだと私は思います。


目の前の現状に囚われずに、自分のスキルや人脈の形成を通じて、独自のブランドの獲得に努めることが重要なのかもしれませんね。


newspicks.com



また、田端さんの著書「ブランド人になれ」を読みました。

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この本にも同様のメッセージ、”会社に依存するのではなく、個人のキャピタルを高める、つまりブランド人になること”が述べられています。

好条件が揃った現代ならば今までと比べて簡単に”ブランド人になること”ができて、むしろそういう生き方こそが技術革新により様々な仕事や仕組みが変わっていくこれからの時代には適していることを田端さんは述べています。


私も自分にしかできないことを仕事にしていきたいと思う以上、ブランド人になることは必須だなあって最近よく思います!


それは研究の世界でも、そうでなくても変わりませんね。

修士を出て研究職に就職するという選択

先日、某大手内資系製薬企業で研究経験のある方とお話する機会がありましたのでこんなことを聞いてみました。


「企業の研究職でサイエンスはできるのでしょうか?言われたことをひたすらやるという話を聞いたことがあるのですが。」


すると、こんな答えが返ってきました。


「会社の方針もあるし、何より利益を出さなきゃいけないから縛りももちろんある。サイエンスをするなら確実にアカデミアに進むべきだよ。もちろんある縛りの中であれば自由に実験計画を立てることは企業でもできたけどね。」

とのことでした。


それと、こんなことも言っていました。


「給料は確実に企業の方がいいよ(笑)」

と。


お金は大事ですよね。


いろんな方から聞いた話を合算すると、進路の決め手は何を優先するかということに尽きるのではないでしょうか。


安定した収入はやはり魅力的ではあるし、企業の方がある程度時間的にもゆとりが持てそうな気もします(これは個人個人で差があるとは思いますが。)


企業で研究をしつつ、副業で何か面白いことをやる人生もそれはそれで魅力的だなあとも思いますしね。


なので、私が就職するなら副業OKな企業がいいですね。(笑)




第三の選択肢…?

博士進学と修士を出て就職。


その他の選択肢ってなんだ??


それは起業するという道です。

まだ詳しくは書けませんが、私自身も一つのオプションとして考えており、今ほんの少しずつではありますが動き出してきました。


どうなるかはわかりませんが、何か動きがあればこのブログで記事にしたいと思います。



まとめ

私なりに進学、就職、そして第三の選択肢に対する考えをざっくりと紹介してみました。


私自身、悩んでいる身でありますのでぼんやりとしたことしか述べることができません。


ただ、自分自身年内中には答えを出したいですし、最近いろいろと自分の研究も進展があったり、新たなプロジェクトが始動したりと変化がありましたので、自ずと答えが見えてきそうな気もしています。


とにかく、他人に合わせず自分の心に素直に従って進路を決めていきたいと思います。


そのためには多少忙しくはなるものの、様々な選択肢を持つべく、たくさんの人に会って話を聞いたり、何かチャンスがあればすべてにトライしています。


まさしく貪欲に生きています。


同じように進路に悩む皆さん、楽しんでいきましょう。



cody-oncology-research.hatenadiary.jp



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